ブログでフリーランスという耳に心地良い響きの無職に憧れる若者たち
スポンサーリンク
たびたび話題になる、ブログでフリーランスという生き方について。
働くなんて辞めて、ブログでご飯食べていけるなら最高ですよね。
「美味いご飯食べて、面白い映画観て、好きなだけ本読んで、アフィして生活するなんて、うらやまけしからん。」という内容なのか、「具体性が無さ過ぎて、アイドルを目指す若者を見てるようで不安。」なのか、この手の話題というのはいつも荒れます。
無責任かもしれませんが、「とにかくやってみたらいいよ」って言いたい。
妻子持ちで無職になった、もうすぐ30歳を迎える僕の視点から書いてみたいと思います。フリーランスになってみたい。会社に縛られず、自由に暮らしたいと考えてる人の参考になればうれしいです。
仕事を退職した理由
仕事を辞めたのは1年くらい前の話です。
前職は、東証ではないものの某上場企業に勤めていました。都内で働くサラリーマンです。営業職でした。
それなりの役職を貰い、年収はおよそ500万。勤続年数は6年ほど。都市近郊のベッドタウンに住み、特に何不自由もなく、そして、夢もない暮らしでした。
辞めた理由は、二つあります。
一つ目は時間がないこと。
始発に近い電車に乗り、終電まで帰れず、ろくに眠れない毎日。家に帰っても待っているのは眠っている妻とこども。晩御飯の残りを、レンジで温めて食べる生活。
休みの日には、死んだように眠り、家族サービスなんてする気力もない。こどもの顔を見る時間もなく、いつの間にか言葉を覚え、人の子のように育っていくわが子。食べていくことはできるけど、それ以上も以下もない、そんな日々。
二つ目は働く意味を見失ったこと。
営業職である僕のノルマは、アバウトに言えば月200万円の純利益でした。そして受け取る給料は手取りで30万弱。年間に2,400万円の利益を出し、500万円の給料を貰う。
利益に直結しない間接部門などもあるので、営業職は稼いで一人前という部分は仕方ありませんが、意味のない会議、無駄な報告、事務員のフォロー、その他業務をこなして2,400万円稼ぐ意味。一人で仕事したら、少なくとも生活費くらいは稼げるんじゃないかという慢心。会社に守られているというより、会社に搾取されているという疑念。
非正規雇用やフリーターが溢れ、正社員になれない若者が溢れている世の中で、贅沢な悩みだったのかもしれません。それでも、安定したようにも思える生活は、とても幸せではありませんでした。
企業に雇われ続けることのリスク
ひたすら目標をこなし、仕事の成果は社内でのみ評価され、会社以外の人間と関わることもない。「あなたは誰?」と聞かれても、自己紹介の前に出てくる会社の名前。名札のように、どこに行っても、自分の存在は、○○にお勤めの××さん。社会的信用は、企業名と勤続年数と役職のみで評価され、会社というフィルターを除くと何も残らない。それが、会社員。
会社が潰れたら、中途半端な年齢で再就職も難しい無職。
終身雇用なんて言葉も死語となって久しい時代に、会社に束縛され続ける生活はある意味でリスクと言えます。
副業OKで時間的な余裕の取れるような会社や、専門的やスキルが培われる職場環境なら、すぐ辞めるよりも働きながら自分のビジネスを作っていくというやり方がベスト。ですが、ただ年を取っていく未来が見えているのであれば、逃げ出せる内に逃げ出すというのはひとつの選択肢に成り得ます。
フリーランスは「逃げ」か「攻め」か
フリーランスになるという若者の主張は大抵、「自分の可能性を試したい。」というものです。
若い頃に自分が思っていたほど、自分の可能性が無かったことを既に知ってる大人たちは、「仕事から逃げてるだけ」「後で後悔するから止めておいた方がいい」と口を揃えて言います。
氾濫するアフィリエイトブログを嫌っている人も、批判的なコメントを残します。「応援してます」というコメントは大きな波にかき消され、会社辞めました系のエントリは大抵炎上することが多いようです。
フリーランスで生きるという選択は「逃げ」か「攻め」かで言えば、「逃げ」です。
ただ、辛い仕事から逃げるというよりは、やりがいもなく意味も価値も見出せない生活から抜け出したいという気持ちの方が強いでしょう。
ブログで食べていくことは出来るのか
収入のみを考えれば、就職して正社員で生きるのが生涯賃金が高くなる可能性が高いのは、少し考えれば誰でもわかること。
ですが、「収入が高い=幸せな人生」とは限りません。自分の仕事に疑問を持ち、やりがいが見出せなくなった時点で、嫌でも働かないといけないというのは耐え難いものです。
出典:https://promonista.com/survey_work-lifebalance/
図は2014年のデータですが、”クラウドワーカー”500名(男女比2:8 平均年齢31.4歳)に対し行った「ワークライフバランスに関する調査」の結果です。
女性に比重が多いアンケートのため、偏りがあるかもしれませんが、実に半数近くの人は仕事とプライベートのバランスに不満を抱えています。
不満を抱えた中で、インターネットで自分でも稼ぐことが出来るという事実は、渡りに船。自分のやりたいことが出来る可能性に賭けてみたくなるのは、当然の結果と言えます。
ブログだけで食べていくことは出来るのかと言えば、正直厳しいでしょう。では、どうやって生計を立てていくのか。それについて考えてみたいと思います。
ブロガーの価値とは
さながら新興宗教のように「ブログは稼げる」と連呼されるブロガー界隈の影響なのか、アフィリエイトのリンクなど貼っていると総じて叩かれがちです。
ブログの価値とは一体なんでしょうか。
読む人にとっては、そもそも存在価値すらないのかもしれませんし、不要なゴミアフィブログといえばその通りかもしれません。ブロガーとして生きていくなんて言えば、「ふざけるな○ね」くらい思われても不思議ではない程度には、アフィリエイトブログというのは嫌われています。
ですが、ブログには既存メディアにはない価値もあるのではないかと思います。
一時期話題になったロケットニュースの記事。
追記あり【神コスパ】超巨大「2キロの熟成肉」を自分で作ってみた結果 → こんなウマいステーキ食ったことネェェエエエ!! | ロケットニュース24
これが、とあるブログによって指摘され、記事が修正されたことがありました。
ロケットニュース24の自己流熟成肉がなぜヤバイのか? - 貧乏人は麦を食え。年収200万円時代を生きる方法。-bobcoffeeの麦食指南
ほんの一例ですが、こういったケースは多々あります。
これがメディア同士で言及しあうかと言えば、そういうケースは稀です。メディアの足りない部分を補完するという意味で、ブログの価値は確かに存在します。そして価値のあるブログ、中身の濃いコンテンツというのは、サクッと片手間短時間で作れるものではありません。
ブロガーが増えるのに比例して、価値のある記事を書くブログが増えていくことで、炎上ボヤを起こしては広告を貼るようなブログやメディアが注目を集めることが無いようなインターネットになれば、また違った景色が見れるのではないでしょうか。
ブログでフリーランスを目指すのであれば、価値のあるコンテンツを提供し続けてほしいと思います。
アフィリエイトの理想と現実
数百万PVを誇るような大手ブログであれば、月数十万稼ぐというアフィリエイトですが、実際のところ、数十万PV程度のブログではそんなに儲かりません。GoogleアドセンスやAmazonアソシエイトでは、あくまでも生活の足しになる程度かと思います。
それ以上に儲かるとしたら、必要以上に広告がクリックされているブログか、もしくはアフィリエイト以外のオンラインサロンや記事広告、ECサイトでの販売、ASPからの直案件など、それなりの収益化の手段が必要になります。
一時的に稼いでも、品質よりも利益を追求したら衰退するのは、商売もブログも同じ。収益の結果ばかりを求め、中身が伴っていないブログであれば、将来的に稼ぎ続けるのは難しいと言えるでしょう。
Googleの評価のリスク
ブログにしても、アフィリエイトにしても、Googleの検索順位というのは収益に大きく関わる要素です。
一時期、はてなの評価が下がったことで話題になりました。数多くのブログで、Googleでの検索順位の低下が見られたそうです。では、Googleの気分ひとつで、収入が途絶えることはあるのでしょうか。
「Googleに左右される生き方なんて無謀」というような意見もよく耳にしますが、Googleのアップデートに大きく左右されるのは、主にブラックハットSEO*1に代表されるような手法で、Googleの評価を偽装した場合の話です。
コンテンツの品質に関係なく検索アルゴリズムの隙間を狙い、小手先のテクニックで検索上位を取る手法は、Googleのアップデート次第でサイト自体が無価値になることも少なくありませんが、価値のあるコンテンツは必ず再評価されます。
Googleの検索エンジンが目指しているものこそ、価値のあるコンテンツだからです。そして書けば書くほど、クオリティの高いコンテンツが作成できるようになります。
【保存版】Google検索品質評価ガイドライン(2015年11月版)の完全日本語翻訳 SEO担当者必見
一時的に検索順位が下がっても、それは今までの評価が高かっただけの話であり、いずれ適正な検索順位に落ち着きます。検索順位が戻らなかった場合は、元々が不相応な高評価をされていただけなのかもしれません。正しいコンテンツを作成し続ければ、Googleの評価が無くなる可能性はそう高くないように思います。
WEBライターという生き方
ブログで収益を得られても、その収益だけで豊かに生活ができるのは極わずかの人だけです。
ブロガーとして自身のブログ一本で生計を立てるというのは、なんともリスクの大きい話。ですが、ブログで読みやすい文章を書ける人というのは、別に収入を得る手段があります。それが、WEBライターという職業です。
2009年ごろから本格化してきたクラウドソージング業界ですが、年々インターネットで仕事をする機会は増えています。
大きな仕事は、プログラムやアプリ開発など専門知識が必要なものや、ロゴ制作、キャラクター作成などデザイン関係が多い内容ですが、記事執筆の需要もあります。
記事単価は驚くほど低く、正直割に合わない内容(文字単価0.1円程度など)も多いクラウドソージングですが、高単価な案件もあります。クラウドソージング中心でも、フルタイムで真面目に取り組めば、記事執筆で月10万円くらいは稼げます。
いや、月10万ならフリーターの方がマシでしょ?
と思われそうな話ですが、ある日突然ブログが無くなったとしても、このくらいは稼げますという話。ブログがGoogleの検索外に飛ばされても、アフィリエイトが出来なくなったとしても、単身なら何とか生活できそうです。
報酬は割安ですが、ライターとしての経験値は、書けば書くだけ蓄積されていきます。
着実に仕事をこなし、営業していけば、正式なライターとして業務を請け負うケースも少なくありません。
色々と自分なりに工夫して、苦労して、ときにはハッタリなんかもぶちかましつつ、なんとか文字単価40.0円を超える案件までいただけるようになりました。あくまでWebライティング案件に限った話です。
【Webライティング】 文字単価が250倍になった話とその経緯 〜0.16円からスタートして、現在40.0円を超えるまでになりました〜 - コピーライター的、戯言目録。
WEBライターは、低単価低品質と高単価高品質の2極化が進みつつあります。
元々高単価*2だったライターの価格相場に、格安で発注できるクラウドソージングが登場したことで相場が崩れつつあるという方が正しいのかもしれません。
ライターとしての価値を判断する上で、ある程度の価格で発注できて、信頼できる人物かどうかを事前に確認できるブログというのは、これからフリーランスで生きていく上で、これ以上ないPRの場となります。
ブログを中心にフリーランスで生きていくというのは、つまりそういうことではないでしょうか。
仕事を選ばなければ生きていける
文章力さえあれば、アフィリエイターでもWEBライターでも、応用が効く場面はいくらでもありますし、それこそ一朝一夕では見につかないスキルです。人を惹きつけられる文章が書けるということについては、誇りをもっていいと思います。
「ブログを書いてて楽しい。好きなこと書いてたら、シェアされて認められて収益も得られて最高だから、私はブログで生きていく。」ということなら無謀な計画ですが「文字を書くのが楽しい。文章を書くことでご飯を食べていきたい。」ということであれば、未経験・コネなしでも生きていける土台は、確実に出来つつあります。
ドロップアウト組が望むもの
収益が数十万などの話を聞くと、フリーランスで生きていく若者が皆、ブログで年収一千万円といったようなブログ長者に憧れていると誤解を招きがちですが、そうではないと思います。
正直なところ、最低限食べていけるだけの収入があれば充分で、自分らしく生きていきたいという想いの方が強いのではないでしょうか。そして、実際に食べていけるだけの収入をインターネットで稼ぐことは、それほど難しいことではありません。
サラリーマンより大変だけど、不可能ではない。
というのが、フリーランスという名の無職見習い一年目の感想です。
僕の場合は、ブログ飯も考えていません。というかそんなに稼げる気もしません。ブログを書く目的は、主にストレス解消と承認欲求の自己満足です。書きたいこと書ける楽しさは、ブログでしか味わえません。
各種アフィリエイトプログラムなどの広告は入れていますが、それでも投げ銭程度の収入です。主な収入源は、PV報酬型メディアや、クラウドソージング、WEBライターの報酬ですが、なんとか最低限度の生活水準は保ててます。
世間はそれを「無職」と呼ぶんだぜ
休みなし、社会保障なし、世間的に言えば、もちろん無職です。
大きなローンは組めませんし、社会的な信用も無いに等しい状態です。義理の両親からは快く思われていませんし、納得してもらうことは無理だと思っています。体調を崩しても何の保証もありません。そして仕事だけでなく、経理も事務も自分一人でやらないといけません。
会社員であれば、健康保険など手厚い保護と社会的信用があります。そして役割に応じてお互いの業務を支え合う体制があります。このありがたさは退社してからでないと、なかなか気付きません。一人で仕事をするというのは想像以上に過酷なものです。
フリーランスや起業、個人事業主と言えば、聞こえはいいかもしれませんが、毎月の収入が決まっていない生活というのは、無職と変わりありません。無職でも胸を張って、「自分らしく生きていく」というのであれば、応援したいし、精一杯生きてほしいと思います。
会社員を実際に辞めてみた個人的な感想としては、家族で過ごせる時間も増え、自分らしい生活が出来ているので、大変ではあるけど充実した毎日を過ごしています。
周りの意見なんて気にしないで、挑戦したければやってみるといい。
雇われて働くよりも辛いし困っても誰も助けてくれないけど、めちゃくちゃ楽しいから。
どんな人生が待ってても、自己責任で割り切れる人は挑戦して欲しいと思います。
それではっ!
▼ツイッターやってます
ブロガーが「フリーランスになる」って言ってる一方で、ヨッピー氏が「35歳無職」名乗ってるの見ると、なんとも味わい深い。
— B型の思考実験 (@tsurare01) 2016年5月14日
▼前にこんな記事も書いてました。この頃は病んでた、実際。。